田中満君のこと


田中君の家は、雷の下で、雨に煙っていた。
 かも知れないが、どうせ夜になり暗いので、
どうでも、見えはしなかった。

 私は、車を田中邸の玄関先に横付けにして、降りしきりだした
雨の中を、2m飛び込むとそこはもう、玄関戸の前だった。

 幸い、門灯と玄関の灯は入れられ、歓迎してくれている。
ピンポーンとボタンを押す。


田中君は、中学2年の3学期から不登校になり、私、
担任は、時々家庭訪問をし、田中君のご機嫌を伺っていたのだが、
 遂に、中3の秋になってしまった。

田中雄三は、会社員である。
田中優子は、パートに出ている。
 満は長男、小6の弟と、小3の妹がいる。
以上5名が、私を出迎えた。

 これから、夕飯を一緒に食べようと、満が電話で言ったので、
よし、行くよ、と出かけていった。

こうして、私は、田中邸の食堂に腰掛けて、6人が会食した。
 スパゲッティーを、満がゆでたのだ。
「スパゲッティーは、石鹸の匂いが付いていました。
 ゆでたら匂いは無くなりました。
引き出しの中に、石鹸も入っていたのです」
 と、満が言った。

 「台所に、小さいハエのような虫が多く発生しています」
 と、父親が言った。
 「ゴミの管理が悪いのですね」
 と、母親が言った。
 「朝のゴミ捨ては、ぼくがやります」
 と、小6の克志が言った。
 「夜中に食べています」
 と、満が言った。
 「レストランに行きたいです」
 と、小3の幸恵が言った。

 手を見ると、なぜか割り箸のトゲが刺さっていた。
 「ありゃ、痛かった。フォークをうっかりかじって、
  前歯が欠けたことがあります」
 と、私は、教訓をした。

 食後、テーブルをかたして、引き続きお茶に呼ばれながら、
 私は、話の聞き役になった。めいめいが、職場や学校のことを話す。
  ごく、普通の暮らしである。苦労話もあるし、楽しい出来事もある。
 満は、ひきこもり一般の音楽やゲームに、オタクになっている。
 オタク とは、趣味陣のことである。趣味人が、仲間を持つ。
 満は、ホームページを作って、交流している。
  そこはかとした社会を生きている。それは、幻である。
 私が、実体になる。私は、ゲームに付き合ってやる。
  しかし、私は、国語教師が、実態だ。

 満はなっぜ、学校に帰宅しないのか、
  なぜ、家庭に行くのか。それを、満は、
人と違うことをしたい、と表現した。
 学校は、自分流で無い、勉強は家でできるし、
 運動も自転車に乗って、公園に行き、走ったり、
空手を練習している。
 大学に行ってから、人と付き合う、と言った。
 高校も不登校で済ますつもりである。
  実際、満は、勉強が驚くほどできる。
 どんどん、先に行っている。参考書をやるのが楽しい、
  と言っている。

 「大検は、高卒認定試験になり、高校在学でも
   受験して単位をもらえます」
 文部科学省のサイトを見た満は、私に講釈した。
 「大学時代からまじめに、勤めればいいのです」

 要するに、中学高校までは、自分流に勉強したいという。
 「専門学部からの修行です」
  満は、自分流 を打ち出しているのだ。
 「面倒です、はじめから、高校は受験しません」
 満は、金を節約して、参考書を買うようだ。
%%%% 田中満君は、卒業式にも出なかったが、最低の単位取得でのお情けの卒業証書を
届けに、私は田中家に行った。  「中学卒業しなくても、大検は受検できることになって、ますます調子が出たのですが、
一応有難いです。ご協力いただきましてありがとうございました」
満が卒業できるように、通信制のような方法を用い、mた、家庭訪問と称して、
公園のベンチで日曜日に、授業をしたこともある。

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